経年劣化の品質が問題

オープンリール テープのデジタル変換依頼で、難題を押し付けられるようなある特定のテープがある。それはカビなどの付着よりも厄介で、テープそのものの経年劣化によって再生ができなくなる恐れがある。

どちらも半世紀近く経過した物でスタンダードテープと呼ばれている。

ひとつはナショナルの赤箱に入っているスタンダードテープでRTシリーズである。こちらは窯入れするとほぼ100%リーダーテープが破断し、これまた100%近い確率でワカメのように波打ってしまう。磁性体は剥がれるというより削れて?いく傾向で、マシンが大体茶色くなる。
再生はどうにか可能。普通に巻き取ってみると、ワカメ状が明らかになるくらい「マスター巻」してもかなり段差が出てしまう。

そしてもうひとつはソニーSUPER Aと呼ばれる、やはりスタンダードテープで、こちらは磁性体が柔らかくなるようで、いくら乾燥させてもなんとなく粘着質のまま。数回走行させながらテープ表面を清掃していくのだが、何度やっても清掃している布は茶色になる。
そして、バックコートがないスタンダードテープにありがちな「テープ鳴き」が走行中に発生する。これはキーキーとかピーピーといった類のもので、再生音には全く関係なく何処かが共振して起こるもの。共振なので、ヘッド面を通過する際に共振していると再生音にも必ず何か障害が起きる。
デッキを縦にしたり寝かしてみたりすることで解決することもあるが、弊社での3モーターマシンの場合、バックテンションが強いので、どうしても消せない場合がある。こうなるとマシンを変えてみたりの処置をするが、それでも鳴いてしまう場合はお手上げとなる。それでもなんとか音にという場合、クオリティの保証はできないが、なんとか再生にチャレンジしてみることになる。

もしこの2種類のテープを変換オーダーする場合、ちょっとだけ覚悟しておいた方がいいだろう。

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