NECは本当にダメ

A to Dのご依頼があったテープですが、以前にも投稿したものと同じNECの初期ごろのテープが混ざっていました。透過してみると光を通さないのですが、目視状態でもわかる巻の間に隙間がありました。またテープアタマ部分のかなりに長さが酷いワカメ状態で、このままでは再生機にかける事もできないのでカットしました。

リールに巻かれている部分がいくらかマシな部分で、引き出してみるとやはり酷いワカメ状になっていて、それでもリールに巻かれているので、一発勝負で、再生機にかけて収録することにしました。実際のテープは7号リールにフルに巻かれていましたが、ワインダーで巻き取り洗浄をしているときにワカメがどんどん酷くなり、さらには磁性体剥がれもかなりの部分に発生していましたので、7号リールにフルに巻かれていたものが、テープが湾曲しているために、一度ほどいてしまうと7号リールでは巻取りができなくなってしまいます。そのため、途中でカットして10号リールに巻いてみました。

こうなると再生というよりも、音がどこにあるかを突き止めていく作業になります。10号リールに巻いてみるとこのくらい酷い状況がわかるかと思います。

もうぐちゃぐちゃですね。これでもヘッドタッチがあれば、どうにか再生できるので、デジタル上で音のある部分だけを繋いでいきます。
こうなると、マシンのヘッド上を通過することが非常に難しく、また、磁性体がなくなってしまった部分はどうやっても音になりません。

これは磁性体が剥がれてしまった部分で、ベーステープだけが残っている場所です。

再生中に何度もマシンを停止して、磁性体のある部分はできるだけヘッドを通過するようにしていきますが、本来ならばあり得ないことが発生しています。これはテープ幅の上下で伸び率が違うため、キャプスタンとピンチローラーで圧着されて送られた先が斜めになってしまうから発生しています。
シングルキャプスタンではテープがヘッドに密着できないので、今回はSONY TC-R7を使用しましたが、なかなか酷い絵柄が撮影できました。ほぼ秒単位で確認していますので、なかなか撮影できませんが、固定アングルで動画撮影したものから切り出してみました。

保管状態はもちろんですが、NECは自社でテープ製造装置をもったいないため、某社のセカンドソース品を販売していました。販売当時は普通に使用できましたが、さすがに半世紀模型化すると、劣悪素材はこういう結果になるのだと。
オーダーされる場合はまず銘柄の確認と、箱の有無で、かなりテープ状態が左右されますので、要チェックです。

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